横山大観は、明治・大正・昭和の時代を常に先頭に立ち活躍してきた近代日本画段の巨匠です。
生涯を通じて日本を愛し、神気に包まれた霊峰富士を描きつづけた大観の偉業は、今また新たな感動を呼んでいます。
その中でもこの「霊峰四趣 春、夏、秋、冬」は、大観が自身の画業五十周年を記念して描いた「山十題」と呼ばれる中の作品で、霊峰富士の四季を連作として描いた貴重な作品となります。ぜひ四点セットでお揃え頂き、季節の移り変わりとともにその姿を変える富士山の威容をお楽しみください。
【霊峰四趣・春】(れいほうよんしゅ・はる)
朝ぼらけにかすむ青松と桜花の向こうに聳える春の富士
春霞(はるがすみ)の中に泰然とそびえる霊峰富士。
その麓には山桜が咲き誇り、松の緑が春を謳う吉祥画です。
描線を用いず色調の変化でやわらかに描き出されたその姿は、大観の描く富士の中でも最も華やかに描かれた逸品として知られています。
【霊峰四趣・夏】(れいほうよんしゅ・なつ)
激しく動く夏の入道雲に覆われつつ現れる青い霊峰
激しく動く灰白色の夏の雲海から、群青の霊峰が頂上をのぞかせます。真っ白な雪をわずかに残した鮮やかな群青色の山肌と、微妙な色調で複雑な形態を成す雲海のバランスは、大観にしか描けない大胆な色使いと構図で目の覚めるような美しさです。
【霊峰四趣・秋】(れいほうよんしゅ・あき)
初雪の緑の高原から霊峰の白い頂上眺める秋の風景
色彩ゆたかな本作は、前景には白砂と青い流水、中景には柔らかな薄(すすき)の穂に秋草や楓(かえで)、青松、最奥には初雪を冠した霊峰が清澄な存在感を誇り、遠近法を超越した大観ならではの空間表現が、日本の秋の理想郷を描き出しています。
【霊峰四趣・冬】(れいほうよんしゅ・ふゆ)
極寒に黒々凍る山々を突き抜けて立つ峻厳なる冬の霊峰
雪の山頂から長く裾野を伸ばす富士山に、墨色のみで自在に描きだされた空と雲。
凛とそびえる霊峰に「孤高」の気高さを感じるのか、極寒を思わせる雲に「峻厳」さを感じるのか。
まさに霊峰と呼ぶにふさわしい荘厳な姿が描かれています。
【額】
●額寸法(約)縦42×横52×厚さ2cm
●絵寸法(約)縦32×横41cm
●高精細デジタル印刷
●額材質:木製、アクリルカバー入
●掛け紐付